労働法~問題社員対応~
社内講師を務めることがあるのでその準備や復習を兼ねて、問題社員対応を法務観点で整理する。
以下で上記のmapの意味を説明する。
【労働法の世界観概要】
労働法の背景には雇用の社会経済的な性質や労働者の権利保護という憲法上の要請があるため、会社の従業員への対応には不合理でないことと社会的に不相当でないことが必要となる。
【雇用契約】
会社と従業員の関係は雇用「契約関係」である。雇用契約の本旨は、労務提供とそれに対する報酬(給与)の支払いであるが、雇用の特性から、付随義務(安全配慮義務、企業序維持義務等々)も極めて重要な意味を持つ。
【問題社員対応】
(総論)
会社と従業員の関係が雇用「契約」である以上、法務観点から問題社員とは契約上の義務履行において問題がある社員でしかあり得ない。そのためどのような義務違反かの特定が重要となる。
(対応)
①どのようなケースでも可能なのは、会社には指揮命令権(従業員の労務提供義務の裏返し)があるので注意指導が可能。
②義務違反においては、債務不履行なので解約(普通解雇)が可能となる。但し、前述の世界観との関係上、実際のハードルは高いため、人事権の行使で対応(異動、降級等)するに留まることが多いだろう。
③企業秩序維持義務違反の場合、雇用における社会性という特性から、懲戒処分という対応もできる。
(注意点)
いずつれにおいても合理性相当性の観点に注意して適切な措置をとる必要がある。
特に能力不足の場合、債務が包括的であるため本当に債務不履行か、解約するレベルなのか(相当性)はなかなかハードルが高く、特に新卒採用の者は、改善指導を繰り返しておくことが肝要となる。