企業法務の頭の中

企業法務を中心に実務目線で法律の基礎知識をまとめるブログ。一般民事弁護士から企業に転身した法務部員の頭の中を公開します。

労働法~退職~

社内講師を務めることもあるため備忘と研鑽のために退職に関しまとめておく。

まとめた内容が下記のMAPであり、MAPの内容の概要について説明を記載しておく。


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【前提】

従業員と会社の関係は雇用契約関係なので、従業員の退職は契約の解消として整理される。解約については会社の意思と従業員の意思による場合があり、双方の意思が合致している場合が合意解約である。

もっとも従業員に退職意思がある場合は、合意でも一方的でも会社は応じなければならないので、合意解約は従業員側の意思として位置づける。

すると分類は下記のとおりとなる。

(従業員の意思)

①自己都合退職

②合意解約 

 あ 定年退職

 い 期間満了

(会社の意思)

③本人に問題がある解雇

 あ 普通解雇

 い 懲戒解雇

④本人に問題がない解雇(整理解雇)

 

【従業員の意思による退職の注意点】

基本的には本人の自由意思に契約記載内容に基づくので問題にならないものであるが、本人の自由意思に基づくものかといった点や契約が適切かといった問題がある。

前者の問題は、退職勧奨や退職届の撤回といったケースで問題になり、後者は期間満了時における雇止めの解雇権濫用法理の類推として問題となるものである。

 

【会社の意思による退職の注意点】

解雇については、権限の濫用が問題なり、措置としての客観的合理性と社会的相当性が要請される。また、懲戒解雇は制裁なので濫用以前に就業規則への記載による権限の存在が前提となる。

判断の厳しさは整理解雇>懲戒解雇>普通解雇となり、整理解雇は整理解雇の四要素の観点から丁寧な手続きと検討を経て行わなければならない。