企業法務の頭の中

企業法務を中心に実務目線で法律の基礎知識をまとめるブログ。一般民事弁護士から企業に転身した法務部員の頭の中を公開します。

問題解決思考② ~垂直的思考(MECE / 帰納と演繹)~

MECE

Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの略で「漏れなくダブりなく」分析すること。それ自体はフレームワークというより、フレームワーク思考をするための視点ととらえておいた方がよい。

MECEに整理する切り口として清水久三子さんは著書で以下の4つの観点を挙げている。

①対立概念分類:ミクロ・マクロ、アナログ・デジタル、リアル・バーチャル等

②数値分類

③時系列手順分類:過去・現在・未来、インプット・プロセス・アウトプット等

④要素分類:学校(小・中・高・大・専門)、四季(春夏秋冬)等

※注意点

・どのような切り口にするかは、そもそも何のために分析するのかということを意識して選ぶ。

・細かいところにとらわれると永遠に終わらないケースも出かねない。大事な部分を8割は押さえられているかという視点が肝要。

 

帰納法演繹法

帰納法

帰納法とは、さまざまな事実や事例から導き出される傾向をまとめあげて結論につなげる論理的推論方法。

方向性としては「具体→抽象」。

弱点は反例、反証。

例)

「A社は新製品が出ていない」、「A社の従業員が多く辞めている」、「A社から支払いの先延ばしがあった」、
ということは、

「A社は経営難に陥っている」

 

演繹法

一般的かつ普遍的な事実(ルール・セオリー)を前提として、そこから結論を導きだす方法でいわゆる三段論法はこの考え方に則る。

方向性としては「抽象→具体」。

弱点はルールの確からしさに依存する点とルールと結論の関連性。

 例)

大前提:すべての人間は死すべきものである
小前提:ソクラテスは人間である
結論: ゆえにソクラテスは死すべきものである

 

(法律家と帰納法演繹法

法律家は案件に法令を適用するということを求められ、当該案件それ自体の分析しどののような法令が問題になるか、類似事案や裁判例の検索・検討しどのような共通点や相違点を見出せるかといった具体から抽象の作業と当該適用法令について当該案件で適用されるのか、類似事案では適用されたのかといった抽象から具体への作業を繰り返し、解決に向かっていく。

そのため、帰納・演繹の行き来の作業を繰り返し、案件解決や能力向上を図っていくものである。